2015.04.19.(日)

時々受ける質問です.

うつ病や統合失調症ってどういう状態なんでしょう?

第三者の視点からではなく,当事者はどのような経験をしているのか,

という視点からの質問です.

医師や専門のスキルを持つ方のお話しをお聴きすることが,良いと思います.

ここでは,私の知る範囲では,ということで,小さな貧しい者の経験を,

お分かちをさせて頂きます.



子供が風邪をひくと,親は,自分の経験から,

どういう状態か分かりますが,

精神的な疾患の場合には,経験したことが無いから

分からないですね.それで,「未知のもの,初めてのものへの不安と誤解」が,

「偏見」を生み出しているのかも知れません.



もし,機会を得られるならば,統合失調症の方やうつ病の方から,

お聞きすると良く分かります.

私は,そのための啓発をするNPO活動をしている方と

お会いする機会があり,それで知ることが出来ました.

そのような活動をされている方と知り合いになって

連絡を取れる関係を持たせて頂けると,

援助活動をする上でとても助かりますね.



私がご厚誼を頂いている方の中に,統合失調症の方がいらっしゃって,

医師の治療を受けつつ,啓発するためのNPO活動をされています.

その方の場合,仕事をしている最中に,後ろから,「おい」と声を掛けられ,

振り向いたら誰も居ないので,誰だろうと思ったそうです.

そして,それが繰り返し起こるようになり,何故,誰が,自分にいたずらをするのだろうと,

考えるようになったそうです.

そして当然のことながら,「誰?」と振り返り見るようになり,

「誰がいたずらしてるんだ?」

「何故,そんなにいたずらをするんだ?」と言う気持ちが

いっぱいになり,それを,遠くから見ていた人から,

「何かあったの?」と聞かれるようになって,

更に,周りにいる人がみんなで,自分にいじめをしているように感じるようになっていった.

そのような状態だったそうです.

それで病院で受診したそうです.そして,その方はご自分が病気であることが分かりました.

この方の場合は「幻聴」ですが,ご本人にとっては,聞こえているのが真実,現実でした.



また,別の男性の方の場合ですが,

その方は,隣の席の人と話しをしているのですが,

向かいの席の人から「大丈夫?」と声を掛けられる経験をした.

それで,周りの人が,テレビ番組のビックリカメラのように演出して,

自分にいたずらをしているのではないかと,だんだん怖くなったそうです.

病院で受診したら,自分が病気であることが分かったそうです.

初めは医師の言っていることも,半信半疑に思えたそうです.

彼にとって,ただ隣の席の人と話しをしていた,それが現実なのです.



その他に,音楽が聞こえたり,隣の人が人形に見えたり,

様々の状態の方がいらっしゃいます.

それらの方々は,それが現実であるのに,

それを分かってもらえないというストレスを感じていらっしゃるのです.

或いは,病気であることが分かると,自分が壊れてしまっていると感じ,

それによるストレスを抱えていらっしゃる場合もあります.



症状が軽く,社会生活や仕事に差し障りがないので,

地域社会で活躍されている方がいらっしゃいますので,

私としては,それらの方々の主体的な経験について,理解を深めさせて頂き,

調子が悪い時には,気が回らなくなってしまったりしている,

と受け止めるようにさせて頂くように心がけています.



「うつ病」の方の場合ですが,

私は,「うつ病」の診断は専門家の間でも難しい診断であるとお聞きしていますので,

その点を踏まえて,「うつで生活に支障をきたしている状態の方」と受け止めさせて頂くようにしています.

「うつ」の男性の方からお聞きしたことですが,

「何かをしたいという気持ちが全く起こらない.

体に力が入らない.動けない.動かない.」と仰っていました.

一見すると何かの病気や怪我があるわけではない様子です.

それで,寄り添い励ましたいと思っている側では

「気持ちの持ちようだよ」と励ましの言葉を掛けたくなりますね.

けれどもその男性は「動けない,動かない,気の持ちようだと言われるのが辛いんだ.」と

仰っていました.



それで私の場合は「動けない,動かないという状態」というものがあること,

更に,それゆえの「辛さ」もあることを,学ばされました.

そのままに,その場を一緒にしていることだけでも良いんですね.

けれども,「うつ」は,寄り添う私の側が,巻き込まれて,一緒に「うつ」になって

「できない,やれない,動けない」という気持ちになってしまう場合がありますね.

巻き込まれないようにするために,

お話しをお聞きする私と,話をされている彼の違いを踏まえることが必要ですね.



「脅迫」の方の場合は,少し様相が異なります.

共通して聞かれることは,自分の内側に,強く起こってくる気持ちがどうにもならなくて,

動けなくなったりしていらっしゃるようです.

一人の男性の場合ですが,自動車を運転していてトンネルに入ったら,

急に怖くなり,しかも,とても運転していられないほどに怖くなって,

トンネルの中の待避所へ自動車を止めて,運転席にうずくまってしまった.

通りかかった道路監視員の方が,自動車を運転してトンネルから出してくれたので,

自分で運転して,トンネルを通らないように遠回りをして,

家まで帰ってきた.そのような経験をされていました.



また,人が集まる場所で,初めてお会いする方々の中に,

不潔感を感じる人に出会い,戸惑う経験をされている男性も居ました.

そのような不潔感を伴う人との関わりが嫌で,

それが気になり,気持ちが一杯になって,他のことができなくなり,

仕事や生活に支障をきたすので,

自分の生活の範囲から除きたくなるということでした.

この男性は,医師の診断を通して,病気だと分かっても,

普段,日常生活の場で,その感覚が起こってくる人に遭遇することが,

避けられないまま生活をしています.

そして調子が悪くなると,その先方の人に迷惑を掛けたくないと思って,

家から出ないようにしているそうです.

その方の場合,医師でも,不潔感の対象となる場合があり,

診断を受けられる医師にであうまで,病気と言う認識がないままに,

戸惑っている状態が続いてもいました.



 私が専門家の方に接し方をお尋ねしたところ,

 「脅迫の方は,医師の治療を受けて居ない場合には,

 まだ脅迫が落ち着いて居ないので接することが難しく,

 ましてや,人の集まりに入ると集まっている人たちの人間関係を壊してしまう.

 それで,医師の診療を受けることをまずお勧めしています.

 受診をして落ち着かれると,脅迫の方は,自分の弱さの認識も得ていらっしゃるので,

 接し方も見えてきます.」と,

 ご教示を頂きました.



 以前に,私はご自分が「脅迫」であることの病識をお持ちで,

 ご自分の辛さを,私にお話して下さっている方と,

 接し続けていた時期がありました.

 その方は自分の弱さを伝えて,

 できる交わりを持とうとしされていたんですね.

 それを振り返り,なるほどと学ばされました.



 「脅迫」の方から「訳もなく湧いてくる思いが避けられないこと」を抱え生きることの辛さ

 というものがあることを,学ばせて頂きました.

 そのような方に対しては,こちらからは排除しないで,

 その方にとって無理のない範囲を考えて,

 社会の場で可能なの交流を行うような受け止めを

 させて頂くことが,肝要ではないかと思わされ,

 その方が幸せ感を持てる心の距離で,

 共に天を頂くという距離感をつかむように心掛けています.



 しかし,援助者として寄り添う距離に立つことそのものが,

 「脅迫」をもたれている方の「苦」になる場合もありますので.

 その距離をつかむって難しいですね.

 でも,「脅迫」の方は,何も感じない人や場所については,

 普通に接し,過ごせるのです. 

 そして社会での交流を必要としていますし,交流ができるのです.

 それだけではなく,良い支援活動を,なさっているのを目の当たり

 にしたことさえあります.

              
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